(税込み定価250円)
目次は下記に掲載してあります。
人生で時々(特に若い頃)、他人の「NO」を受容できないマインド状態の人たちに出会ったことがある。それは、私が、「それはやめてほしい」とか、「それは迷惑です」と、明確に何度も言っているにもかかわらず、その行為をやめない人たちのことだ。その人たちの中には、私の母親も含まれていた(笑)。母親の場合は、ほとんどの場合、親切の押し付けであり、迷惑といっても、本当はありがたいこと(こっちで買うからいらないと言っているのに、自分で作った布団とかを送りつけてくるなど)だったのだけど。
20代の頃、最初にそういう人に出会ったとき、衝撃的だった。この人には「人間の言葉」が通じないのだと。それまでの私の常識では、人が「それはやめてほしい」とか、「それは迷惑です」と、はっきりと何度も言えば、やめるのが普通と、そう思って生きてきたからだ。
それからもたまにこういう種類の人に出会い、しだいに私はそういうマインドの状態に関心をもつようになった。人間の言葉が通じない理性がぶっとんだ状態――そういう状態のとき、その人は「理性が機能する人間」ではない――そこから、私は「動物状態」の知性という概念を思いついた。
なぜそういう人たちは、他人の「NO」を受容できないのかと言えば、彼らのマインドが「恐れと怒り」にほぼ100%支配されているからだ。その「怒り」とは、「自分がやりたいと思うことに、NO(拒否)を突き付けられた怒り」、あるいは、「自分に逆らうやつは許せないという怒り」であり、「恐れ」とは、「このまま相手のNOを受け入れたら、自分の権威と権力が失墜するかもしれない」とか、「相手から得ている何か利益を、今後もう得られなくなる」というようなものである。
知性が人間段階まで進化した人なら、「NO」と言われることを不快に感じても、他人のNOを受容するはずであり、それが常識である。
幸い現在、私のまわりには「動物園」の住民はいないので、他人の「NO」を受容できない動物マインド状態を見る実際の機会は皆無であるが、ネットには山ほど記事が出ている。
最近一番目につく「人間の言葉が通じない理性がぶっとんだ状態」の人たちといえば、IOC(国際オリンピック委員会)だろうと思う。日本国民の7、8割の人が「この夏のオリンピック・パラリンピックをやめてほしい」、そして世界の大半の世論も「オリンピック・パラリンピックをやめたほうがいい」と、多くの専門家や知識人も「やらないほうがいい」とNOを言っているのに、それを一切聞けない状態。
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