結婚は、「仕事」、あるいは、「冒険」
2013-09-28


前回のついでに、今回も結婚についての話題です。

以前に読んだ投稿サイトの投稿で、二十代後半くらいの若い女性が結婚について書いた悩みが、印象に残っている。

要約すると、だいたい以下の内容である。

「私は今、恋人と同棲しています。彼のことが大好きで、いずれ結婚したいと思っています。『あなたとずっと一緒にいたいから結婚したいし、あなたのことがこんなに好きなんだから、結婚してもきっとうまくいくと思う』と彼に言っても、彼はなかなか結婚しようと言ってくれません。彼は、『君のことは好きだけど……でも君は結婚のことを何もわかってない』と言います。『結婚が何もわかっていない』とは、どういうことでしょうか?」

もし私が20代の頃にこういった文章を読めば、この女性にきっと共感しただろうけど、今なら、男性の気持ちのほうがよくわかる。 人生には、「好きだけど、縁が終わらざるをえないこと」(人間関係にかぎらず、あらゆるものとの縁)が、たくさんあるのだ。

私自身は運命の都合で、一度も結婚したことがないが、自分の両親をはじめ、結婚している人たちを子供の頃から観察してきたことと、特に生物進化論、人類学等から、「結婚の現実」を学んだ。その結論から言えば、ロマンのない話にはなってしまうが、結婚とは「仕事」である。特に若い年代の人たち、そして、特に女性は、結婚をロマンチックに考える傾向にあるが、結婚は「仕事」とほぼ同義であり、結婚したい人はそう思って結婚に向かうほうが、現実的である。

私が若い頃、女性たちは、結婚を「永久就職」と多少揶揄して語ることがよくあったし、今では、就職活動のように、まさに「婚活」という言葉が一般的に定着している。永久かどうかは別として、「就職」という言葉は、けっこう当てはまっているかもしれない。もちろん、女性にとってだけでなく、男性にとっても、結婚は「仕事」である。

おそらく、先の投稿者の恋人が本当に言いたかったことは、「君のことは好きだけど、でも君は『僕との結婚という仕事』には向かない」ということではないかと、推測する。

生物進化論&人類学の研究によれば、男女の恋愛感情の賞味期限は3~4年ということであり、これには生物学的な根拠がある――詳しく知りたい方は 「愛はなぜ終わるのか?」 (ヘレン・フィッシャー著 草思社 ) 「結婚の起源」 (ヘレン・フィッシャー著 どうぶつ社) などの本がお勧めである。

だから、どんな大恋愛で結婚したとしても、数年たてば、その恋愛感情は色あせるのが普通ということである。結婚生活がうまくいくかどうかは、恋愛感情が終わったあとにも、結婚生活を支えるだけの共通の目的があって、そのために夫婦が努力できるかどうかということにかかっている。たいていは、「子供を無事に育てあげる」が共通の最重要の目的である―そもそもそのために、「結婚制度」は始まったのだ。 

もちろん、子供以外に、夫(妻)の仕事を支えるとか、共通の趣味(思想)を楽しむとか、一緒に商売や何かの活動をするとか、伝統的な家業を継承するとか、その他色々な目的があるが、結婚が続いているカップルは、「結婚生活において、何が重要か」という価値観が絶対に一致している。そして、「結婚における幸福」とは、お互いの協力でその目的がうまく実現していると思えるときで、そのとき相手に対して愛情と感謝を感じ、相手を大切にしようという気持ちが自然にわく。


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[人間関係]

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