「そうだ、トルコへ行こう!」(2)
2018-08-14


イスタンブールにはシナンの作品がかなりあるが、ツアーで行ったのは一番有名なスレイマニエ・ジャミイ(1557年頃完成。ジャミイとはモスクのこと)だけだった。行った日は、観光客も少なく、のんびりと見ることができた。天井の幾何学模様が素晴らしく、本当は寝転んで天井をしばらく眺めていたいくらいだった。

ガイドさんがシナンがどれほど天才だったかを説明してくれた。16世紀、まだ空調の科学などがない時代に、シナンはモスクの空調(夏は涼しく、冬は暖かく、ロウソクの煙などがモスク内部に充満しないようになど)を正しく考え、モスクを設計したそうである。また将来、修理が必要になるときのために、修理の指南書も壁に埋め込んであったそうだ。このモスクの中庭に立ったとき、昔タージ・マハルを見たときの感動が少し蘇った。そしてなぜ私がイスラム風の建築が好きなのかも少しわかったような気がした。

有名なほうのスルタンアフメト・ジャミイ、通称ブルー・モスク(こちらはシナンの弟子の作品)へ行った日は、日本で言えばお盆休暇の始まりのような日で、内外の観光客が押し寄せ、人とぶつからないで歩くのが困難なほどだった。たくさんの人に気が散って、のんびり内部を見るのはあきらめ、中庭と外の風景を楽しんだ。

イスタンブールを出たあとは、トルコの主だった有名な観光地を巡った。(トロイの遺跡、パムッカレ、カッパドキア、アンカラなど)。その中で、コンヤという町はトルコへ来て初めて町の詳細を知った。日本でいえば、京都のような古都で、ここで何を見に行ったかというと、13世紀末、イスラム神秘主義のメヴラーナ教団を創設したメブラーナ導師の霊廟で、現在はメヴラーナ博物館になっている建物だ。その中にメブラーナ教の創始者のメブラーナ導師とその他名僧の棺が置かれている。

ガイドさんがしきりに「メブラーナ」という名前を連発するので、「ああ、トルコで有名な宗教家なんだ」と思って、よーくガイドブックを読んだら、メブラーナ教とは日本では「スーフィー教」の名前で知られている派のトルコでの名称で、メブラーナ師とはこれも日本のスピリチュアル系の人たちには名前が知られているジェラルッディン・ルーミーのことだとわかった。
 
コンヤは宗教的戒律を重んじる街らしく、街を歩いている女性たちはほとんどスカーフを着用し、レストランではお酒を飲めないし、お酒を買える場所も非常に少ないという。ところが……ガイドさん曰わく、人口あたりのお酒の消費量はトルコ一だとか。「これは隠れて飲んでいる人が多いという意味なんでしょうかね?」と、お酒大好きなガイドさんは笑って言っていた。

トルコをバスで巡って驚いたことは、中国人観光客の多さだ。どこの観光地やドライブインへ行っても、日本のツアー客の5倍くらいの中国人のご一行様たちがいる。まあ、人口が多いから当然なんだろうけど、世界のあらゆる国、あらゆる分野に中国人とメイド・イン・チャイナが進出している。


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