テストステロン(オス・ホルモン)中毒
2012-07-23


皆様、暑中お見舞い申し上げます。(8月は都合でブログをお休みします)

どこかの県の中学校で昨年起こった、イジメが原因とされる自殺が、今頃マスコミで大きく報道されている。

私は、学校でのイジメ問題が起こるたびに、その当の学校の校長や教育委員会の人たちの発言、「イジメはなかったと認識している」みたいな発言にいつも驚く。人が集団で毎日集まる場所(学校、職場、家庭等)では、どこでもイジメが起こる可能性があるし、特に中学校では、ほぼすべての学校で、私が子供だった頃も、現在も、大なり小なりイジメが起こっている。

ほとんどの場合は、たぶん、暴力ざたにならない程度ですんでいるか、イジメられている子供が孤独に必死に耐えているか、耐えられない場合は、他の学校へ転校するかして、表ざたにならないだけである。

イジメはめったに起こらない特殊なことだと学校関係者が思っているかぎり、毎回毎回、「イジメはなかったと認識している」と馬鹿の一つ覚えの発言を繰り返して、自分たちの無能さをさらけ出す羽目となっている。

なぜ教育関係者そして親たちががイジメに対して無知無能かといえば、彼らがヒトという生き物が子供から大人まで、どれほど本当は闘争的か、他者をコントロールして優位な立場に立ちたいという願望にどれほど駆り立てられて生きているか、知らないからだ。学校の教師はいつも生徒をコントロールして、自分のパワーを感じたいと思っている。親はいつも自分の子供をコントロールして、パワーを感じたいと思っている。そしてまた、教師同士、親同士も、コントロール・ゲームをしている。こういった自分たちの中にもある闘争本能を理解しないかぎり、子供同士のイジメのメカニズムも理解できないはずであろう。

「闘争本能」それ自体は、ヒトの肉体に生まれつき備わっているもので、それそのものが悪いわけではないが、それがヒトの自我(エゴ)とタイアップして、他人を踏み台にして、自己存在感を高めようとするとき、他者へのイジメという形でしばしば現れる。

その闘争本能をつかさどるホルモンが、テストステロンと呼ばれているオス・ホルモン(男性ホルモン)で、小学生高学年から中学生頃の思春期に、特に男の子の体の中で大量にそのホルモンが出始めることが知られている。

テストステロン(男性ホルモン)の作用というのは、日常用語的に言うと、「自分の中のエネルギーを外側に発散して、自分のパワーを感じたい」という衝動であり、sexはその衝動の一番有名な表現である。


学校という場で許されるテストステロン(ちなみに、このホルモンは女性の体の中にもある)の表現は普通、勉強、スポーツ、芸術とほぼ三つの分野に限られていて、この分野でテストステロンの衝動をうまく昇華できる子供たちは、学校という場で、それなりの居場所を見つけて、自分の存在にある程度自信をもつことができる。

しかし、すべての子供たちがテストステロンを無害に昇華できるわけではなく、学校の方針や教師の教え方が自分に合わないなどの理由で、不安や退屈や苦痛を感じている子供たち、あるいは、何らかの事情でひどい心理的ストレスをかかえている子供たちは、ほとんどの場合、人間関係の中で、テストステロンの衝動を動物的闘争という形で表現しようとする。

イジメている子供たちには、自分たちが悪いことをしているとか、自分たちがイジメているという認識はほとんどないはずであり、ただあるのは、「どうだ、オレがどれほど強いか、わかったか」みたいなテストステロンの衝動による自己存在の確認だけである。


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