ダグラス・ハーディング(3)To Be and not to be, that is the answer
2016-07-17


 今回から、ダグラス・ハーディングの教えとワークについて数回にわたって書く予定です。

ダグラス・ハーディングが生涯語り続け、書き続けたことは、テーマとしては主に三つに分かれている。

1.自分の中心から外側に広がる現象宇宙についての宇宙論。

2.自分の中心において、私とは何なのかの認識・理解。

3.非存在が、何の理由も原因もなく、突然存在となる驚異。

もちろん、以上の3つのテーマは相互にリンクしていて、全然別の話というわけではなく、ダグラスは今回のTo Be and not to be, that is the answer(存在し、そして存在しない、それが答えだ―仮称)の中でもその三つをおりまぜて語っている。

1の宇宙論は1953年に出版された彼の本、The Hierarchy of Heaven and Earth(天と地の階層)  にまとめられ、その中で彼は、分割できない宇宙全体の構造と機能、つまりそれぞれの地域的階層(銀河系、太陽系、地球、人間、分子、原子など…… ) がお互いをどう支え、お互いの中でどうゆう役割を担っているのか、非常に綿密に科学的知識を踏まえ、壮大に語っている。

ダグラスは、20代のときに図書館に通いつめ、あらゆる科学の本を読み、The Hierarchy of Heaven and Earthの基盤となる科学的知識を独学で学び、それからたぶん本の構成を長い時間かけて構想し、そして執筆に9年間かけている。
私が最初に、確か90年代の初め頃だったと思うが、The Hierarchy of Heaven and Earth の本を読んだとき、非常に難解な文体の英語で語られるその優雅で壮大な宇宙論にものすごい衝撃を受けたものだ。彼の宇宙論は、一部は、グルジェフェの宇宙論に似ているところもあるが、使われている言語表現が全然異なっている。The Hierarchy of Heaven and Earthに書かれている内容を理解するのに、非常に集中力と努力が必要で、でもその困難にもかかわらず、書かれていることに非常にワクワクするなどという読書経験はめったにできることではない。本書を読んでいるときは、人間クラブと地球上のゴタゴタをはるか下に見下ろし、優雅に宇宙旅行をしている気分が味わえ、SF小説的な発想まで思い浮かぶことがある。

私はたくさん本を読むほうではあるが、蔵書家ではなく、普段は本そのもの、そして本を所有することに過度の価値を置いていない。しかし、ダグラスのThe Hierarchy of Heaven and Earthだけは、「また読ませて、挑戦させていただきます」(笑)と、読む前に拝礼したくなるような雰囲気がある。
 
ちなみに、The Hierarchy of Heaven and Earthの本は、ダグラス・ハーディングが自分でタイプしたオリジナルな原稿が結局あまりに分量が多すぎるということで、市販された本は分量を3分の1に減らした縮小版のほうで、私がいつも読むのも縮小版のほうである。


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